ロボコン・光の裏に潜む陰
さて,先日ロボコン東海北陸地区大会が開催された.
結果だけを見ると,Aチームは一回戦敗退.Bチームは二回戦敗退と決して芳しいものではない.
だがしかし,この大会を制したのは一度もまともに動かなかったマシンである.何ともやり切れない.
私たちは数年前より指導教官の助言を得ながらマシンを製作してきた.当然,今年もそうである.
行き詰ったとき,持っている知識ではどうしようもなく足りない時救いの手を差し伸べてくれる.
ロボコンに於ける製作の中心は,やはり学生が主体なのである.
この制作期間中,「学生に作らせるのは無理では?」「教師が作るべきでは?」といった話を何度か聞いた.
しかし,私はこれに反対である.学生が作るからこそロボコンであり,そうでなければ意味を成さない.
TV等で観る分には分からないだろうが,果たしてそこまでして勝利を収める必要があるのだろうか?
確かに社会に出れば「結果」を求められる.私たちも学生という身分に甘んじて「動いてよかった」等と
ゆるりと言っている訳にはいかない.確かに近年の大会では満足のいくマシンを作り上げる事ができず,
そう思われても仕方がないかもしれない.
が,今年は違った.マシン,プログラムを何度も改良し練習した.
そして練習によって浮かび上がったマシンの問題点を再び改善,痛んだ箇所の修復と強化.
実際,会場へ赴いても今までならマシンを弄っていたのだが,今回に関しては最終的な微調整のみ.
どこを取っても問題なし.
だがしかし,結果は最初に書いた通りの惨敗.やはり,完成度が低かったのだと思われるかもしれない.
だが,会場にて他高専のマシンを見て思ったのだが,技術的には全然負けていない.寧ろ勝っている.
確かに各高専にはそれぞれの色があり,他の高専には負けないという箇所が一部あるが,
総合的に,客観的見ても悪くはないレベルにまで技術力は付いてきたと思う.
唯一足りない箇所といえば,「魅せる」技術が無いことだろうか?
私たちが今回製作したマシンにその「魅せる」箇所が無かったのかと言われればそうではなく,
寧ろ大量にあった.マニピュレータ,ダンパ,姿勢制御のシステム,どれも皆苦労して作り上げたモノ達である.
技術的な観点から見れば負けてない.ただし視覚的には地味なものであり,その素晴らしさが伝わらない.
さて,話は「教官たちが作ったらどうか?」に戻す.
確かに技術的には上がるかもしれない,魅せる技術も加わるだろう.
だが,時間はあるのだろうか?
現在,本格的な製作は学生が夏休みを毎日使用し,
9月になってからは土日返上&平日は授業が終わってから日付が変わるまで作業をしている.
本格的な製作を始めた夏休みから大会までの三ヵ月半の総合的な活動時間は一人当たり軽く800時間を越える.
無論,皆がそうであるわけではないのだが,それにしても膨大な時間である.
授業・課題,様々な障害があるが,皆それすら投げ打って作業をしている.
学校の授業を終え,作業し,帰宅すると残された睡眠時間は残り2〜4時間
その僅かな睡眠時間を削って課題を消化する.
こんな生活が一月近く続くのである.はっきり言って辛い.
果たして教官達にこれだけの私生活の犠牲、これだけの作業時間が取れるであろうか?
そもそも,このような学生たちに対して学校側からのサポートは一切無い.
分かってくれる先生もいるが,基本的には普通の学生と同じ扱いである.
特に何かを求めるわけではないのだが,もっとしっかした物を作れと言う割には何もしてくれない.
果たして彼らはこの私たちの作業現状を把握しているのだろうか?
さて,最後のほうは何やら纏まらず愚痴のような物になってしまったのだが,少しはロボコンについて理解頂けただろうか?
このような文を見てやる気を無くす方もいるだろうが,
それでも作りたいという方は勇気を出して部室の扉を叩いてはくれないだろうか?